【図解】総合的な探究の時間学習 指導要領解説 ポイントまとめました【3枚】

【図解】総合的な探究の時間
この記事のURLとタイトルをコピーする




高校の新学習指導要領で新たに始まる「総合的な探究の時間」。

先生A
総合的な学習の時間の名前が変わっただけ?

こんな疑問を持たれる先生も多いのではないでしょうか。
忙しい先生方のために、3つのポイントに絞って解説します!
お忙しい方は図解だけでも見ていってください。

プチ情報
総合的な「たんきゅう」の時間の漢字は要注意。探「究」です。
予測変換で「探求」が出やすく、わかっていても間違えることが多々あります。文書を書くときは毎回チェックすることをおすすめします。

この記事でわかること

  • 総合的な探究の時間と総合的な学習の時間の違いがわかる
  • 総合的な探究の時間について、学習指導要領に書いてあることが大体わかる

01総学と総合的な探究の時間の違い

【図解】総合的な探究の時間2
学習指導要領解説 8ページに、「最も端的に表れている」違いとして第一の目標が挙げられています。
旧 総合的な学習の時間

探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・ 総合的な学習を行うことを通して,よりよ く課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとおり育成する ことを目指す。

新 総合的な探究の時間

探究の見方・考え方を働かせ,横断的・ 総合的な学習を行うことを通して,自己の 在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を 次のとおり育成することを目指す。

微妙なところですが、注目すべきは「自己の在り方生き方」を考えているタイミングです。
総学では一通り課題解決の手法を学んだ後で自分の生き方について考えていくとされています。一方で総探では、自己の生き方を考えながら課題を解決の手法を学んでいくのです。つまり、総探では自分やこれからの生き方に関係する課題を設定することが求められています。

■ 総学 課題解決 してから 自己の生き方
■ 総探 自己の在り方生き方考え ながら 探究

となっています。

つまり、小中では「課題解決学習で学んだことを後から自分の人生の応用できたらいいよね」というスタンスであるのに対して、高校では最初から自分に関連した課題を設定し、探究のサイクルを回す(後述)ことが求められているのです。

ここからは私の個人的な解釈ですが、

小学校・中学校までの総学では、調べ学習や課題解決の手法を勉強する。そして、高校ではその手法をフル活用して自分に関連した課題について探究する。と言った感じでしょうか。

現状は高校の総探だけでも学校によって大きく異なり、試行錯誤している段階です。
しかし、これから先は小中高の総学・総探の連携や指導内容の体系化が必要になってくるのでしょう。

社会に出てからも日々学び続けて探究することは大切ですよね。
高校でその訓練をしっかりと充実させてあげたいなぁと個人的には思っています。

02探究のサイクルをまわそう

【図解】総合的な探究の時間3

では、具体的にどう探究をしていけばいいでしょうか。
学習指導要領解説12ページには、探究のサイクルの図が載っています。

探究のサイクルは次のような流れです。
①課題の設定
②情報の収集
③整理・分析
④まとめ・表現
⑤繰り返す

特に5つ目が忘れられがちな気がします。よくこの図を簡略化して一周の円になっているのですが、「繰り返す」というニュアンスが失われるので少し残念です。

03カリキュラム・マネジメントの要

【図解】総合的な探究の時間4

実は新学習指導要領では各教科の探究科目も始まります。教科の内容を元に探究するということです。例えば、「古典探究」であれば古典の内容の中で探究します。「理数探究」は理科と数学の内容の中で探究します。総探はこの中核に位置していて、全ての教科の内容を横断して探究活動を行うのです。

それだけに、ただやみくもに探究を行うのではなく、総探を中心として、カリキュラムマネジメントを行うことが大切です

カリキュラム・マネジメントという言葉は最近よく言われるようになった言葉です。

カリキュラム・マネジメントとは
学校の教育目標実現向けて、
1. 教科横断的な視点で教育内容を組み立てること
2. 教育課程を評価・改善していくこと
3. 実施に必要な人的・物的支援を確保すること

日本教育新聞の記事が詳しかったのでリンクを貼っておきます。

カリキュラム・マネジメントって何? 実行すれば学校がどう変わる

学習指導要領21ページにも次のような図が載っています。
学習指導要領解説から抜粋

総合的な探究の時間は、学習指導要領や学校における教育目標を達成するために、「他教科等で身に付けた資質・能力」や「教科・科目を超えた」情報活用能力や言語能力をフル活用して探究課題の解決に取り組むということが書かれています。

Kawaijuku Guideline (2019) の記事で 國學院大學 田村学さんの記事がありました。

https://www.keinet.ne.jp/magazine/guideline/backnumber/19/0405/tankyu.pdf

この中では、学校で探究活動を充実させるには「縦」と「横」の視点から教育過程を整理することが大切と話されています。

「縦」と「横」の視点とは、次のように定義されています。

「縦」とは、各高校の抽象的な教育目標を、自分たちの高校で育てたいと考える資質・能力にまでブレークダウ ンして整理し、その資質・能力の育成を教育課程編成上の方針として位置付けることです。教育目標の直下に位置付けられるため「縦」のラインです。

「横」とは、「縦」のラインで明示された、学校として育てたい資質・能力を「総合的な探究の時間」だけでな く、他の教科・科目を含めてどう育成するかという、教科・科目間の関係を指しています。

私自身も、実際に現場で総探の担当をしていて、この考え方には賛成です。
特に「横」の視点ですが、これまで行ってきた教科の学習の中にも、探究に必要な学習を行っているはずです。
なにも一から探究のためのカリキュラムを考えるのではなく、これまでに行ってきた教育をうまく紐付けすることから、総合的な探究の時間の準備を始めるべきだと考えています。
例えば、英語だけでも、本文のから読み取った情報をグラフィックオーガナイザー(図式したもの)にまとめたり、プレゼンをしたり、エッセイにまとめたり。探究の視点からみると、まさに探究のプロセスをたどっていますよね。また、内容も環境問題、SDGs、人権問題など他教科と一緒に学ぶとより深まりそうなことを取り扱っています。
各教科でこんなことしてるんだよ、というのを他教科と共有して、「じゃあここでこの力を一緒に育めそうだね」と言った会話がもっともっと必要なのではないでしょうか。

参考
高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説
総合的な探究の時間 編
https://www.mext.go.jp/content/1407196_21_1_1_2.pdf