Twitter「#教師のバトン」34,035文をテキストマイニングで可視化してみた

教師のバトンアイキャッチ
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文部科学省が教師を目指す若者たちに教師の魅力を伝えるために始めた「#教師のバトン」プロジェクト

2021年3月26日にスタートしたこの企画ですが、「投稿にあたり、所属長からの許諾は不要」というお墨付きも与え、すぐさまTwitterをしている教員の間で広がっていきました。

しかし、当初は「魅力」を伝えるはずのハッシュタグでしたが、このハッシュタグには教師の悲痛な訴えが大量に上がり、炎上。

文科省の担当者も

「社会から注目を集めたことを前向きに捉えつつ、教師の声を集積する役割を果たしていると思うので、この声を推進力に、迅速に具体的に勤務環境の改善を進めたい」(NHKサイトより

と話すに至りました。

今回はそんな「#教師のバトン」のツイートデータ34,035文をテキストマイニングで分析してみました。

Pythonで「教師のバトン」ツイートを取得

昨年から趣味で始めたプログラミング。今回はその経験を生かし、Pythonを使ってツイートデータを取得しました。流れは以下の通りです。

  1. Twitter APIの取得
  2. Tweepyのインストール
  3. Tweepyを使って「#教師のバトン」ツイートの取得
  4. データをtxtファイルに書き出し

Twitter APIは申請してから数日で取得することができました。申請では英語で使用目的などを書く必要がありましたが、それほど難しくなく簡単に取得することができました。

取得後、PythonのTweepyというライブラリを使い、「#教師のバトン」が含まれるツイートの本文データを取得しました。この際にリツイートは省いています。

そのデータを分析用にtxtファイルに書き出しました。

ワードクラウドの作成

ワードクラウド

まずはじめに上記のようなワードクラウドを作成しました。

出てきた回数が大きい単語ほど大きく表示されています。

「教員」、「教師のバトン」などの語句はどうしても多く出てきますので、今回は表示をする際に除外をしています。

このワードクラウドはRのRMeCabを使って作成したものを、Illustratorで見やすく修正しています。大きさなどはいじっていません。

このワードクラウドから読み取れることとして、まずは「仕事」について多く述べられているということ、そして「部活動」、「管理職」、「勤務時間」、「働き方」という言葉が続いて出てきていることから現在の教員の長時間労働について述べているツイートが多いということがうかがえます。

実際に、出現回数を見てみましょう。
出現回数

「教員」、「学校」、「仕事」といったワードは今回の「教師のバトン」の趣旨からも、多く出てきて当然といったところでしょう。

しかし、それに続き、1,200回以上出てきているのが「部活」というワードです。また「文科省」というワードも約1000回出現していました。

このことから、労働環境の中でも、特に部活動への意見が多かったということが明らかになりました。また、「文科省」への意見や要望も多く、当初の目的の「魅力を伝える」ことから大きく離れていることがわかりました。

共起ネットワークの作成|6つのグループ

共起ネットワーク
次に、KHcoderというソフトを使い、共起ネットワークを作成しました。

共起ネットワークとは出現パターンの似通ったものを線で結んだ図、すなわち共起関係を線(edge)で表したネットワークを描く機能
https://khcoder.net/scr_r.htmlより

この結果から、ツイートは次の6つのグループ(サブグラフ)に分類できることがわかりました。

      「教師のバトン」グループ
      「仕事全般」グループ
      「時間」グループ
      「部活」グループ
      「保護者」グループ
      「労働環境」グループ

この中でも特に「現場」、「声」、「文科省」などからなるグループですが、しばらく経ってからの分析ということもあってか、「教師のバトン」プロジェクト自体についてのツイートが多く見受けられました。

炎上し、各種メディアで取り上げられたこともあり、「現場の声」を「文科省」にもっと聞いてほしいと言った趣旨のツイートが多く見受けられます。

そのほかのグループについては、やはり「部活」・「保護者(対応)」などを原因とした「(残業)時間」や労働環境に関するツイートが目立っています。

一教員として思うこと

当初は「魅力を発信して」という狙いのもと始まったこの教師のバトンプロジェクトですが、結果的に教師の労働環境について多くの人が知る、そして文科省が動くきっかけになったという点で評価できると思います。

実際に現場で働いていて、上で出てきたような理由で辞めていく同僚や同期はかなり多いのが現状です。

しかし、このような現状でも教師という仕事は魅力的だと個人的に考えています。
令和の時代にあった労働環境で、もっともっと教師という仕事の魅力が高まるように期待しています。

皆さんは今回の「教師のバトン」プロジェクト、どう感じましたか?